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もう一つの地球が見つかる日―系外惑星探査の最前線 [著]レイ・ジャヤワルダナ

[評者]川端裕人(作家)

[掲載]2012年10月21日

[ジャンル]科学・生物

表紙画像

■進化論級の発見、迫る「その時」

 夜空を見上げ、どこかに地球に似た星があるだろうかと考えた事がある人は多いはず。実は、太陽系外の惑星の研究は今や日進月歩で、新たな発見が相次いでいる。誰もが抱く素朴な疑問に科学が迫る様を、主要研究者の一人である著者が解説する。
 「ほんの20年前まで、確実に存在する惑星系は一つだけだった」と著者は冒頭で言う。つまり、我々の太陽系だ。
 遠く離れた恒星に惑星があるか知るのは難しい。なにしろ、大きく明るい恒星に対し惑星はあまりに小さく暗い。しかし研究者は様々な方法を編み出し、不可能を可能にした。惑星の重力で恒星が振幅することで光の色が微妙にずれるのを観察するドップラー法、恒星の前を惑星が横切る時に少し暗くなるのを捉えるトランジット法など。今では惑星を直接見る方法もある。
 最初に見つかった系外惑星は恒星にごく近い軌道をまわる「ホット・ジュピター」(熱い木星)と呼ばれるタイプだった。木星のような巨大惑星が太陽の近くにあるのはそれまでの理論と食い違い、新たな太陽系形成モデルが考案されるほどの衝撃を与えた。さらに「スーパーアース」(大型の地球)と呼ばれる岩石惑星も発見されるようになった。
 目下最大の話題は、米航空宇宙局(NASA)が打ち上げた専用の観測衛星だ。15万個の恒星が見える宙域を常に観察し、今年6月までに2300個以上もの惑星候補を見つけた。その中にはハビタブル・ゾーン(生命が存在し得る領域。液体の水の存在が重要)にあるものも多い。生命の可能性が見込めるとなると、今度は生命存在の指標「バイオマーカー」の観測に注力することになる。
 地球外生命の「決定的証拠」が発見されればダーウィンの進化論に匹敵する衝撃を人類社会に与えると著者はいう。そして「われわれは生きているうちに『その時』を迎える」と予言する。
    ◇
 阪本芳久訳、草思社・2310円/Ray Jayawardhana トロント大学教授。惑星の多様性と起源が専門。


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