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「遥かなる『文芸春秋』」書評 「総合」に特化した専門誌

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2012年11月18日
遙かなる『文藝春秋』 オンリー・イエスタデイ1989 著者:白川 浩司 出版社:小学館 ジャンル:歴史・地理・民俗

ISBN: 9784093798358
発売⽇:
サイズ: 20cm/253p

遥かなる『文芸春秋』―オンリー・イエスタデイ1989 [著]白川浩司

 著者は1991年から3年間、「文芸春秋」の編集長を務めた。世界では冷戦が崩壊したが、日本はまだ55年体制下にあった。細川護熙氏による「日本新党」の結党宣言の掲載など、時代の変わり目に立ちあうことになる。
 「国民雑誌」と言われてきた同誌。著者はお家芸ともいえる「昭和天皇独白録」などの昭和史秘話から、冷戦秘話のような新たな「春秋(歴史)」の発掘を目指す。当時から総合雑誌の終わりが言われていたが、著者は同誌を「『総合』に特化した専門誌と考えた方が分かりやすい」と考えるに至る。皇后さまの失語やJR東日本批判をめぐる「週刊文春」との立場の違いなども興味深い。
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 小学館・1890円