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逢坂剛 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2012年12月23日

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(1)フランコと大日本帝国(フロレンティーノ・ロダオ著、深澤安博ほか訳、晶文社・5775円)
(2)『マルタの鷹(たか)』講義(諏訪部浩一著、研究社・2940円)
(3)断定表現の通時的研究(長崎靖子著、武蔵野書院・1万2600円)
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 (1)は、太平洋戦争を日本とスペインの関係から読み解いた、従来にない視点を持つ労作。日本との駆け引きも含めて、〈中立〉と〈非交戦国〉のあいだを揺れ動いた、スペインの不安定な立場がよく分かる。
 (2)は、気鋭の英文学者がダシール・ハメットの代表作を、章ごとに分析して小説作法を検証した、刺激的な論考。ハメットが、単なるミステリー作家ではないことをアピールした功績は、大いに評価できる。『ガラスの鍵』の講義もぜひ!
 (3)は、江戸から明治の洒落(しゃれ)本、歌舞伎台帳等を渉猟して、〈です〉以下の断定表現の興亡と変遷を、綿密にたどった専門書。昨今、時代小説や時代劇の会話がずいぶん乱れているが、作家もこうした研究資料を読んで、勉強し直す必要があるだろう。
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 逢坂剛(今年はエッセイを含めて、本が3冊出たので、一安心。ただし、来年はまた減りそうで、少し心配。)

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