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柄谷行人 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2012年12月23日

表紙画像

(1)「自己啓発病」社会(宮崎学著、祥伝社新書・798円)
(2)真理の勇気(ミシェル・フーコー著、慎改康之訳、筑摩書房・6195円)
(3)フロイト講義〈死の欲動〉を読む(小林敏明著、せりか書房・2625円)
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 (1)1990年代以後、「自己啓発」のための本がブームとなってきた。この背景には、新自由主義の浸透がある。人々は相互に切りはなされて無力になり、それぞれ「自己啓発」に励むことになるが、いよいよ無力になるだけだ。しかし、著者は震災後の日本に、そこから抜け出す可能性が生まれたという。
 (2)今日、哲学はもっぱら、知識を厳密に基礎づける仕事だと考えられている。フーコーはそれに異議を唱え、哲学は真の生を開示するものだという。彼はその鍵をディオゲネスに見いだした。
 (3)晩年のフロイトが提起した「死の欲動」という概念は、生物学的な観点に立っているため評判が悪かった。逆に、著者は現在の分子生物学の成果である「死の遺伝子」という理論にもとづいて、それを読み直す。
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 柄谷行人(今秋北京清華大学で講義し、帰国後、『哲学の起源』(岩波書店)を刊行しました。当面は休養します。)

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