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いとうせいこう 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2012年12月23日

表紙画像

(1)東京プリズン(赤坂真理著、河出書房新社・1890円)
(2)厳重に監視された列車(ボフミル・フラバル著、飯島周訳、松籟社・1365円)
(3)2666(ロベルト・ボラーニョ著、野谷文昭・内田兆史・久野量一訳、白水社・6930円)
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 (1)はそのスケール、仕掛けにおいて大変に読みごたえのある小説だった。途中、天皇を女性として把握するところ、戦争責任のとらえ直しなどは今後おおいに議論されてよい。その意味でも“開かれた”作品だった。
 ボフミル・フラバルは好きな作家だが、日本ではこれまで2冊しか翻訳されていなかった。(2)は3冊目。ナチス占領下のチェコをめぐる苦い作品だが、何よりも「フラバル・コレクション」と銘打たれているのに感激した。もっと読める!
 同じく(3)ロベルト・ボラーニョ『2666』も翻訳では3冊目。この大著をいまだに風呂場で毎日読んでいる。読み終えていないのに言えるのは、やっぱりこの作家はピカイチだということ。今夜も読むのが楽しみだ。
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 いとうせいこう(2月にまとまった掌編共著『Back2Back』を始めに、短編や中編など十数年ぶりに書いて過ごしていました。)

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