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川端裕人 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2012年12月23日

表紙画像

(1)教育研究とエビデンス 国際的動向と日本の現状と課題(国立教育政策研究所編、明石書店・3990円)
(2)孤独なバッタが群れるとき フィールドの生物学9(前野ウルド浩太郎著、東海大学出版会・2100円)
(3)梅雨前線の正体(茂木耕作著、東京堂出版・2520円)
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 (1)情緒的に良しあしが語られてきた感がある教育施策を実証データに基づいたものにしたい。人の命を左右する医療現場で鍛えられた疫学証拠(エビデンス)に基づく評価法を教育に応用する動きが世界的に広がっている。21世紀の教育に必須の視点。
 (2)若手研究者によるシリーズごと推す。本書は、大発生すると各国を飢饉(ききん)に陥れるバッタをサハラ砂漠で研究する著者の研究への過剰なまでの真摯(しんし)さと規格外のユーモアが結実。新時代のファーブルになれるか。
 (3)も若手研究者による力作。小さな研究冒険物語であるだけでなく、気象を擬人化した物語で、梅雨の意外なメカニズムを説明するなど野心的。うっとうしい梅雨を扱いつつ、理科離れ? それ何? と感じさせる壮快さ。
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 川端裕人(気象小説『雲の王』が今年の仕事。来年は引き続き気象の話を広げつつ、久々に「もはやSFではない宇宙小説」も。)

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