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中島岳志 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2012年12月23日

表紙画像

(1)魂にふれる(若松英輔著、トランスビュー・1890円)
(2)ネットと愛国(安田浩一著、講談社・1785円)
(3)商店街はなぜ滅びるのか(新雅史著、光文社新書・777円)
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 (1)で若松は、死者との共生を探る。震災後、宗教者は「死」について語ったものの、「死者」について語らなかった。しかし、被災地で切実だったのは、死者となった身近な人の存在だった。大切な人の死は、喪失ではない。死者となった他者と出会い直すことが重要だ。とにかく、多くの人のもとに届いてほしい一冊。
 (2)は、排外的な主張を繰り返す在特会を追いかけたルポ。社会の中で「うまくいかない人たち」が、在日コリアンをターゲットに過激な言葉を吐く。安田は彼らと密に接触し、現代特有の承認欲求を見出(みいだ)す。
 (3)は、商店街の誕生から衰退までの歴史を追うことで、その機能と役割を再考する。ノスタルジーを越えた冷静な分析の中に商店街再生への強い思いが漲(みなぎ)っている。
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 中島岳志(来年は、『リベラル保守』『血盟団事件』『岩波茂雄』を出版し、過去の連載を本にまとめる予定です。)

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