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福岡伸一 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2012年12月23日

表紙画像

(1)ナメクジの言い分(足立則夫著、岩波書店・1260円)
(2)カブトムシとクワガタの最新科学(本郷儀人著、メディアファクトリー新書・777円)
(3)動物に魂はあるのか(金森修著、中公新書・924円)
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 面白くてためになる手軽な生物の本を3冊。殻を捨てたカタツムリがナメクジ。持ち家幻想を脱し、小食、婚活の手間もなし(雌雄同体)。自由生活2億年。いざとなれば互いに協力もする。氷河期が来ても、恐竜が絶滅しても生き延びた(1)。
 カブトムシの雄は交尾後、雌を投げ飛ばしてしまうが、クワガタは行為後もしばらく寄り添う。クワガタの方が心身ともに紳士的でスタイリッシュ?(2)
 さて、生物をあまりに擬人的に語るのはよくない? そんなことありません。ヒト以外の生物に心はないとされた時代があった。入力に対して一定の出力を行うだけの自動機械だとデカルトは言った。これが逆に、人間とは何かを問うことにつながった。生命観の変遷を捉えなおした好著(3)。
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 福岡伸一(フェルメールに明け暮れた1年。「光の王国展」館長を務める。読書歴をたどった『福岡ハカセの本棚』を発刊。)

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