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楊逸 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2012年12月23日

表紙画像

(1)ピダハン(ダニエル・L・エヴェレット著、屋代通子訳、みすず書房・3570円)
(2)台湾海峡一九四九(龍應台著、天野健太郎訳、白水社・2940円)
(3)中世オランダ語「狐(きつね)の叙事詩」(檜枝陽一郎訳、言叢社・5800円)
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 たくさんの良い本に出合い充実した1年だった。(1)伝道師だった著者がアマゾンの奥地で原始的な生活を送る「ピダハン」という民族と共に過ごした時間を実録した1冊。ピダハンには「こんにちは」のような言葉がなく、1日3食、昼は働き夜は寝るという常識も通じない。しかしみな身体が締まって健康そうである。肥満なんて悩みとは無縁だ。自分も生き方を見直すべきではないかと考えてしまった。(2)つい60年前の戦争を経験した兵隊さんへのインタビューから織りなすノンフィクション。歴史の見方を変えてくれるのではなかろうか。(3)15世紀オランダ語の「叙事詩」で、狡猾(こうかつ)な狐ライナールトがほかの動物を蹴り落としながら頂点に上りつめるという、時の世相を反映したユニークな「出世」寓話(ぐうわ)である。
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 楊逸(年始に『孔子さまへの進言』を刊行。年末にかけて「文学界」で「流転の魔女」を連載。来年6月に刊行予定。)

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