書評・最新書評

保阪正康 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2012年12月23日

表紙画像

(1)共産主義の興亡(アーチー・ブラウン著、下斗米伸夫監訳、中央公論新社・8925円)
(2)キッシンジャー回想録 中国 上・下(H・A・キッシンジャー著、塚越敏彦他訳、岩波書店・各2940円)
(3)マッカーサーへの100通の手紙(伴野昭人著、現代書館・2310円)
    ◇
 今年はボリュームのある知的充足度を高める書が多かった。21世紀の価値観を確認するために、20世紀の総括を試みる書が目立ったともいえようか。私の3点はそれを意識して選んだ。得るところ大であった。
 (1)は共産主義思想が現実に国家体制となり、そして70年余を経て解体するその過程を丁寧に説いた書である。20世紀にこの思想に賭けた人たちへの鎮魂ともいえる書である。日本人の目でこういう書を書ける人が出てくればと思う。(2)は20世紀最大のマキャベリスト(大仰か)の中国観の書である。毛沢東、周恩来への畏敬(いけい)の念に納得させられる。(3)はマッカーサーに手紙を書いた北海道民百人のその内容、歴史的変化を含め多様な視点が鋭い。20世紀を問う書だ。
    ◇
 保阪正康(体調を整えつつの日々。『わが回想』『ナショナリズムの昭和』『戦友会の研究』などは明年に延期となった。)

関連記事

ページトップへ戻る