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渡辺靖 書評委員お薦め「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2012年12月23日

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(1)メインストリーム(フレデリック・マルテル著、林はる芽訳、岩波書店・3780円)
(2)オバマを読む(ジェイムズ・クロッペンバーグ著、古矢旬・中野勝郎訳、岩波書店・3675円)
(3)レッドアローとスターハウス(原武史著、新潮社・2100円)
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 (1)は世界30カ国を股にかけて「文化」をめぐる熾烈(しれつ)な国際競争の最前線を取材した労作。米文化のしなやかな底力と、その覇権に挑む国々のしたたかな世界戦略が活写されている。文化に国際政治の厳しい現実が重くのしかかっている点は日本では見過ごされがちだ。
 (2)は米思想史研究の第一人者がオバマイズムの本質を米国的なプラグマティズムの伝統のなかに読み解く。巷(ちまた)にあふれるオバマ論とは明らかな一線を画している。哲学せしめるほどの政治家が彼の地にいることを羨(うらや)ましく思う。(3)は親米反ソの資本家が敷設した西武鉄道とその沿線に出現した革新色の強い巨大団地に着目しながら、東京の西郊を思想空間として読み解いた出色の一冊。コミュニティー研究としても秀逸だ。
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 渡辺靖(11月に共編著『ソフト・パワーのメディア文化政策――国際発信力を求めて』(新曜社)を刊行しました。)

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