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彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?―窃盗癖という病 [著]河村重実 [監修]竹村道夫

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)

[掲載]2013年06月02日

[ジャンル]教育 医学・福祉 社会

表紙画像

■「治療的司法」への取り組みも

 一見遠い話のようだが、この本で引かれた手記を読んで、ハマってしまってどうにも抜けられない窃盗癖患者の苦しみが立ち上がるその足許(あしもと)が、自身のそれと地続きでないと言い切れる人がどれだけいるだろう。動機も発動の仕方も相当に複雑だが、彼らが「これまでの人生で、自分に責任があるとは思われない、割に合わない役割を背負わされた体験者」であるのは間違いないと竹村医師はいう。
 議論は、高い比率でみられる過食嘔吐(おうと)型の摂食障害と窃盗癖とのクロス・アディクション(多重嗜癖〈しへき〉)に限定されているが、この嗜癖は自身を蝕(むしば)むだけでなく、はっきりと他者に被害を及ぼす。だからそれへの対応も、係争と治療のあいだを揺れ動いてきた。治療の実際のみならず、自助グループの活動、「治療的司法」への地道な取り組み、弁護活動の過程なども丹念に紹介されている。患者さんみずからが作った、万引きをやめるための「具体策」の真っ直(す)ぐさに目頭が熱くなった。
    ◇
 飛鳥新社・1680円

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