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「希望を捨てない市民政治」書評 論理的でマスコミとうまく付き合い楽しく

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2013年06月16日
希望を捨てない市民政治 吉野川可動堰を止めた市民戦略 著者:村上 稔 出版社:緑風出版 ジャンル:社会・時事・政治・行政

ISBN: 9784846113100
発売⽇:
サイズ: 20cm/197p

希望を捨てない市民政治―吉野川可動堰を止めた市民戦略 [著]村上稔

 徳島の吉野川に可動堰(ぜき)を造る計画は、なぜ中止されたか。有権者の約半数が、建設の是非を問う住民投票を求めて署名したが、市議会は条例案を否決。建設反対の著者らが選挙に出て、議会構成を逆転させる。が、公明党が「投票率が50%以上なければ開票しない」と条件を加えた案を提出。著者らは投票実現のため、それに乗る。公明党と犬猿の仲の共産党には、「上」から働きかけるリアリズムが印象的だ。投票率は55%、建設反対は90%を超えた。
 著者による「希望を捨てない市民政治」の要点は(1)論理的で(2)マスコミとうまく付き合い(3)楽しくやること。運動のリーダーで、2010年に死去した姫野雅義さんと対話しながら書いたという。
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 緑風出版・2100円