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[銀河鉄道の夜]フィールド・ノート [著]寺門和夫

[評者]

[掲載]2013年06月23日

[ジャンル]人文

表紙画像

 「銀河鉄道の夜」を読んでいると、宮沢賢治独特の造語によく出合う。たとえば、ジョバンニがその下に寝ころがり、やがて幻想空間へと旅に出る丘の上の「天気輪の柱」。具体的な描写は何もない。科学ジャーナリストの著者は「天気」輪ではなく、「天」「気」輪だと考える。大気圏から天へ垂直に伸びるイメージがこめられていると。
 天気輪の柱のモデルになったのは、現在の岩手県奥州市水沢区にあった緯度観測所の天頂儀ではないかという。観測地点の緯度を正確に測るため、天頂方向へ向けられた望遠鏡だ。賢治は何度か観測所を訪れ、詩にも書いている。一種の謎解き本だが、丹念な取材と現地調査に基づく卓見が随所にうかがえる。
    ◇
 青土社・1470円

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