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中村健之介「ニコライ」書評 布教と日ロ友好に尽くした生涯

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2013年08月18日
ニコライ 価値があるのは、他を憐れむ心だけだ (ミネルヴァ日本評伝選) 著者:中村 健之介 出版社:ミネルヴァ書房 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション

ISBN: 9784623066957
発売⽇:
サイズ: 20cm/464,11p

ニコライ [著]中村健之介

 ロシア正教の大主教ニコライ(1836-1912)は、東京・神田にあるニコライ堂で知られる。幕末に来日して日本正教会を創建し、日本での活動は半世紀に及んだ。ロシア文学者の著者は、関東大震災で焼失したとされたニコライの日記をロシアで見つけだし、『宣教師ニコライの全日記』全9巻を刊行するなど、36年間にわたってニコライの真実を探し求めてきた。その地道な研究成果をもとに、布教と日ロ友好に尽くした生涯が生き生きと描かれる。何より、福沢諭吉や内村鑑三に並ぶ人物として日本近代史に呼び戻したい、という思いが行間ににじむ。副題の「価値があるのは、他を憐(あわ)れむ心だけだ」は、ニコライ56歳のときの言葉。
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 ミネルヴァ書房・4200円