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すなまわり [著]鶴川健吉

[評者]

[掲載]2013年09月15日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 著者は大相撲の元行司。表題作の主人公は小さい頃から相撲好きで、小さな新聞記事も切り抜き保存するほどだが、体格的に力士はあきらめ、行司として入門する。なるほど、土俵上には2人の力士と行司の3人しかいない。間近にぶつかり合う肉体、激しい息づかいや飛び散る汗のさまなど、土俵上にいてこその描写だ。本場所より巡業の方が長い、行司はどんな日常を送るのか、など相撲の特異な世界を内側から描いて珍しい芥川賞候補作。素材が異色なだけではないことを、もう一作の「乾燥腕」が示す。3年前の文学界新人賞受賞作。世界への違和感が強烈だが、それは自分自身にも向けられている。変で、ちょっと不気味で、どこかおかしい。
    ◇
 文芸春秋・1313円

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