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「私の本棚」書評 蔵書家の業の深いことよ

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2013年09月29日
私の本棚 著者:新潮社 出版社:新潮社 ジャンル:本・読書・出版・全集

ISBN: 9784103540229
発売⽇:
サイズ: 20cm/181p

私の本棚 [編]新潮社

 読書家23人が本棚への思いをつづったエッセー集。えり抜いたコレクションへの愛情よりも、棚から床へあふれ出す蔵書の苦悩を吐露するほどに、語りは熱を帯びてくる。作家小野不由美さんは全蔵書が収まる本棚をつくるため、一冊一冊の背表紙の幅を計測! 総延長43万8400ミリ也。作家唐沢俊一さんは買い込んだ段ボール箱の山に寝室を占拠されながら、もはや「開けるのが怖い」とのたまう。
 買うから苦しむのは自明のこと。それでもやめられない、蔵書家の業の深いことよ。なんだか、道ならぬ恋におぼれる人を見守る気分。仏文学者鹿島茂さんは「愛書家」ならぬ「愛憎書家」と呼んでもらいたいそうな。
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 新潮社・1365円