書評・最新書評

萱野稔人 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2013年12月29日

表紙画像

(1)それは私がしたことなのか 行為の哲学入門(古田徹也著、新曜社・2520円)
(2)愛国・革命・民主 日本史から世界を考える(三谷博著、筑摩選書・1890円)
(3)金融の世界史(板谷敏彦著、新潮選書・1365円)
    ◇
 書評で取り上げられなかった本から3点あげたい。(1)は、今年でた哲学の本のなかでもっとも推したい本である。行為とは何かという問題を、最新の学問動向を踏まえながら根本的に、それでいて明瞭に論じている。いまだに日本の思想系論壇はフランス現代思想の眩惑(げんわく)のなかであいまいな議論をくりひろげているが、もっとこうした本が読まれるべきだ。(2)もすばらしかった。近代日本の経験を普遍のもとに位置づけ、世界を理解しようとする筆者の試みは、的確で深い。記述もやさしいので安心して読める本だ。(3)金融は難しい。しかしこうして歴史をつうじて金融をとらえると、一気に理解しやすくなる。大学の研究者ではない金融取引のプロがここまで碩学(せきがく)なのも驚くべきことだ。
    ◇
 萱野稔人(4月に編著『金融緩和の罠』を出版し金融緩和策への疑問を提起したが、日本経済は上向き。複雑な気持ちの1年だった。)

関連記事

ページトップへ戻る