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いとうせいこう 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2013年12月29日

表紙画像

(1)メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年(小林紀晴著、集英社・1785円)
(2)サリンジャー 生涯91年の真実(ケネス・スラウェンスキー著、田中啓史訳、晶文社・4830円)
(3)ミッキーはなぜ口笛を吹くのか(細馬宏通著、新潮選書・1680円)
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 (1)は写真家であり作家である小林紀晴が、古屋誠一という“精神を病んでいく妻クリスティーネを撮り続けた”写真家の作品と人を長い年月をかけて追っていく、胸が詰まるようなノンフィクション。そして表現論。小説でもあると思う。
 (2)は世界中の若者に影響を与えたのちに沈黙を続けたあのサリンジャーの伝記で、しかも死後に作品発表があるとニュースになった時期にたまたま出版されるという奇遇もあった本。これを伝記作家でなく、ファンサイトを運営する著者が書いているのが今どきだとも感じた。
 (3)はアニメーションが米国でいかに生まれ、成長していったかの元に見世物小屋やサーカスが存在していたことなどを語る、刺激的なメディア論だった。
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 いとうせいこう(今年は旺盛に小説を出版した。『想像ラジオ』『存在しない小説』、短編は『鼻に挟み撃ち』。さて、来年は……。)



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