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柄谷行人 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2013年12月29日

表紙画像

(1)忘却のしかた、記憶のしかた(ジョン・ダワー著、外岡秀俊訳、岩波書店・3150円)
(2)褐色の世界史(ヴィジャイ・プラシャド著、粟飯原文子訳、水声社・4200円)
(3)ゾミア(ジェームズ・スコット著、佐藤仁監訳、みすず書房・6720円)
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 (1)『敗北を抱きしめて』で知られるアメリカの日本学者の主要な仕事のエッセンスを、自身による解題を付して、年代順に配列したものである。本書によって、戦後の日本と米国両方の記憶と忘却を、一つ一つ吟味することができる。
 (2)「第三世界」は元来、発展途上国という意味ではなかった。前近代的として否定されてきたものを高次元で回復することによって、西洋先進国文明の限界を乗り越えるというプロジェクトを意味した。
 (3)東南アジア大陸部および中国南部の丘陵地帯には、まだ国民国家に統合されていない山地民が存在する。彼らは未開人ではなく、もともと平地にいたが、国家に抵抗して山地に逃れた人たちだ。彼らの世界はいま急速に消えつつある。
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 柄谷行人(今年は「柳田国男論」と「帝国論」を書いた。来年はその続きの仕事をします。)

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