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角幡唯介 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2013年12月29日

表紙画像

(1)永山則夫 封印された鑑定記録(堀川惠子著、岩波書店・2205円)
(2)HHhH プラハ、1942年(ローラン・ビネ著、高橋啓訳、東京創元社・2730円)
(3)子犬に脳を盗まれた!不思議な共生関係の謎(ジョン・フランクリン著、桃井緑美子訳、青土社・2730円)
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 (1)は連続射殺犯永山則夫に迫ったノンフィクション。精神鑑定のテープに残された肉声をもとに犯罪に至る永山の心の動きを追っており、引き込まれる。人間の悲哀から社会の矛盾を浮き彫りにした王道といえる作品だ。
 (2)はすべての物書きにとって刺激的な本だろう。表層的な事実の向こうにある真実を描くために、その事実をどのように記述するべきか。たぶんこの本を読んで自己嫌悪に陥った作家は少なくないのでは。
 (3)は人間と犬との歴史について考察した本で、共生という言葉に納得させられた。人間と行動を共にすることで犬は狼(おおかみ)から進化し、人間もまた犬によって進歩の鍵を手に入れた。エッセイ風で読みやすい文体も魅力的。
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 角幡唯介(極夜の北極圏探検と漁師の漂流取材という2大企画を始動。いずれも面白いことこの上ないが、いつ本にできるのか分からないのが悩みの種。)

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