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佐々木敦 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2013年12月29日

表紙画像

(1)「AV女優」の社会学(鈴木涼美著、青土社・1995円)
(2)ロジャー・アクロイドはなぜ殺される?(内田隆三著、岩波書店・3360円)
(3)45 ザKLF伝(ビル・ドラモンド著、萩原麻理訳、Pヴァイン・3675円)
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 (1)は「なぜ彼女たちは饒舌(じょうぜつ)に自らを語るのか」と副題にある通り、素性を隠している「AV女優」がインタビューでは多弁であることの意味を、実際の取材をもとに考察した本、と纏(まと)めてしまっては何も伝わらない、熱い文体と分析が魅力。著者の「彼女たち」への共感の強度は「社会学」を良い意味で超え出ている。(2)は『探偵小説の社会学』の著者による、クリスティの名作『アクロイド殺し』の解読だが、予想もつかない論旨展開となる。これだけの大著を書き上げるエネルギーにも感服。(3)は全英で1位を取ったこともある音楽家の自伝だが、徹底的な反骨精神と人を喰(く)ったアイデアと尋常でない実行力に彩られた半生は、とにかく刺激的。なにしろ100万ポンドを燃やした男なのだ。
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 佐々木敦(大学教授になり、本紙書評委員になり、『シチュエーションズ』(文芸春秋)という本を出しました。)

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