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渡辺靖 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2013年12月29日

表紙画像

(1)戦後米国の沖縄文化戦略 琉球大学とミシガン・ミッション(小川忠著、岩波書店・3360円)
(2)バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘(松本佐保著、中公新書・903円)
(3)ハンサラン 愛する人びと(深沢潮著、新潮社・1785円)
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 できれば私が書評したかった3冊です。
 (1)は近代沖縄初の高等教育機関・琉球大学の創設(1950年)をめぐる米国の意図と関与、そして沖縄の受容と抵抗を、日米の膨大な資料をもとに、鮮やかに描き出した会心作。英語版を刊行する価値大。
 (2)はカトリック総本山バチカンのしたたかな政治戦略の軌跡をスリリングに読み解いた力作。ソフトパワーとしての宗教について考えさせられた。中南米出身の初のローマ法王が選出された今年、実に時宜を得た刊行だった。
 (3)はR—18文学賞受賞作家による「在日」の日常を描いた連作長編小説。感動の最終作「ブルー・ライト・ヨコハマ」へと話を結実させてゆく技量は圧巻。1年で3度読み返した。
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 渡辺靖(秋にパリ政治学院で客員教授を務めました。海外の新聞・雑誌の書評欄を読み比べる趣味に目覚めました。)

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