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保阪正康 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2013年12月29日

表紙画像

(1)ヤルタからヒロシマへ(M・ドブズ著、三浦元博訳、白水社・3360円)
(2)七番目の百万人(T・セゲフ著、脇浜義明訳、ミネルヴァ書房・7875円)
(3)カウントダウン・メルトダウン 上・下(船橋洋一著、文芸春秋・各1680円)
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 2013年は20世紀の総括、あるいは教訓の再点検などが次世代によって行われた。英国の教養主義、米国の実用主義、ロシアの脱社会主義など各国の研究者、ジャーナリストは自らの視点でその試みを続けている。(1)は45年の第2次大戦末期の米英ソの駆け引きを丹念に描く。日独のファシズム体制を打破したあとの戦い(東西冷戦)の伏線が読みとれる。(2)はイスラエル在住の研究者の書だが、ホロコーストとの関わりを通して、シオニスト運動の問題点を浮きぼりにする。著者は、シオニストたちの正直な声を紹介するのだが、そこから複雑な感情が読みとれる。
 (3)は原発事故の内側を丁寧に再現し、日本社会の基本的体質を問うている。書かれなければならぬ書だった。
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 保阪正康(人生の曲がり角、悲喜こもごもの年であった。全力投球の作品刊行は次年度回しに。)

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