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鷲田清一 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2013年12月29日

表紙画像

(1)螺旋海岸 notebook(志賀理江子ほか著、赤々舎・2100円)
(2)なめらかな社会とその敵(鈴木健著、勁草書房・3360円)
(3)自殺(末井昭著、朝日出版社・1680円)
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 (1)2008年から宮城県の海岸沿いに住みつき、津波に村ごと流されたあと、《螺旋(らせん)海岸》展の制作に取り組むかたわら行った連続トークの記録。志賀による〈撮る〉という行為への執拗(しつよう)な問いかけは、現代におけるアートの存立可能性を突きつめるものだ。
 (2)生命から社会への移行を原理的に論じつつ、貨幣と投票と法と軍事の未来システムを遠望するその構想はさらに詰めや吟味を要するが、若い世代から民主主義の未来について、これほど壮大な方向性が示されたことに瞠目(どうもく)させられた。
 (3)母親にダイナマイト心中されるという体験をもつ著者は、自殺をめぐり、人であることの悲しさにもがき苦しんだ人びとを、優しく切なく愚直に語る。これに救われる人はきっと少なくない。
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 鷲田清一(『〈ひと〉の現象学』と評論・エッセー集など3冊を上梓しました。正月は新書2冊の執筆に没頭、するはずです。)

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