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文芸誌編集実記 [編]寺田博

[評者]

[掲載]2014年06月15日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 1961年秋、河出書房新社に入った著者は坂本一亀編集長の下で復刊された雑誌「文藝」で、文芸誌編集者を始める。初めは編集長の指示で、やがて自身で企画を立て、執筆者に会い、原稿を依頼し、受け取る。誰のどんな作品が、どういう評価を受けたか、「実記」らしく淡々と、しかし当時の熱を思い出すようにつづられる。高度経済成長が始まるころ、「文学と政治」「純文学とは」などの問題軸の地盤が変わろうとしていた。高橋和巳が登場し、正宗白鳥が他界した62年から7年ほどの記録。正面から取り組んだ著者に、文学と文芸誌と編集者の有機的な結びつきが体現される。戦後の代表的な文芸編集者の原点、助走期間でもあろうか。
    ◇
 (河出書房新社・2160円)

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