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内澤旬子 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

表紙画像

(1)寄生虫なき病(モイセズ・ベラスケス=マノフ著、赤根洋子訳、文芸春秋・2376円)
(2)0(ゼロ)葬——あっさり死ぬ(島田裕巳著、集英社・1296円)
(3)変愛小説集 日本作家編(岸本佐知子編、講談社・1944円)
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 秀逸な本は数あれど、お願いだから読んでと押し付けたくなる本は少ない。書評で取り上げた以下の二冊は、まさにそんな希少本。(1)人間の消化器官に棲(す)む常在菌や寄生虫についての科学読み物。非衛生的だという見地から体内より駆逐することで本来のバランスが崩れ起きる病気について、膨大な研究に当たり、分析し解説。行き過ぎた抗菌除菌環境を考え直すきっかけに。(2)宗教全般に詳しい著者が既存葬送慣習の問題点を斬り、新たに究極の葬送方法を提案。その手があったかと快哉(かいさい)。(3)は書評できなかったもの。現代作家たちによる“非・恋愛”どころか名づけようのないバリエーション溢(あふ)れる愛の短編競作。想像力の果てしなさに震撼(しんかん)。異性や人間以外にも切なくなる。人間ってすごい。
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 内澤旬子(6月に小豆島に移住。ヤギを飼い始め、わな猟免許を取得。本はヤギに付き添って外で読むことが増えた。)

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