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柄谷行人 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

表紙画像

 (1)民主政治はなぜ「大統領制化」するのか(T・ポグントケ、P・ウェブ編、岩崎正洋監訳、ミネルヴァ書房・8640円)
 (2)琉球独立論(松島泰勝著、バジリコ・1944円)
 (3)理不尽な進化(吉川浩満著、朝日出版社・2376円)
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 (1)は、現行の議会制民主主義では「大統領制化」と呼ぶべき現象が生じると主張する。それは、首相ないし大統領が議会(立法府)による制約から自立し、また、政党が弱体化して選挙の過程がリーダー個人の人気に左右されるようになる、ということだ。近年の日本の政治に起こっていることも、ここから見るべきである。(2)は沖縄の独立を、太平洋諸島との連合を背景にするなど、従来の民族独立論とは異なった観点から模索する。(3)進化論といえば、適者生存の考えとして知られているが、地上に出現した生物種の99・9%が絶滅している。現在の種が残ったのは偶然にすぎない。進化の根底には「理不尽な」偶発性がある。本書はそこから、進化論の専門的な議論を再検討する。
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柄谷行人 一昨年から交換様式A(柳田国男論)とB(帝国論)について書いてきたので、来年はDに取り組む予定。

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