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佐倉統 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

表紙画像

 (1)意識をめぐる冒険(クリストフ・コッホ著、土谷尚嗣・小畑史哉 訳、岩波書店・3132円)
 (2)月をマーケティングする(D・スコット、R・ジュレック著、関根光宏ほか訳、日経BP社・3456円)
 (3)ストーナー(J・ウィリアムズ著、東江一紀訳、作品社・2808円)
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 書評しなかった本から。
 (1)は、現代科学最大の謎のひとつ、人間の意識に取り組んだ悪戦苦闘の書。著者は意識研究のパイオニア。翻訳も痛快。
 (2)は人類の月着陸という快挙を成し遂げたアポロ計画を、マーケティングの視点から切り取ったユニークなもの。科学技術と社会の関係への新たな見方。
 今年いちばん心に残った一冊が、半世紀前に出版されたアメリカの小説(3)。地味な大学教員の一生を、淡々と描く。懐かしさとほの哀(がな)しさが絶妙にブレンドされていて、夕暮れ時、西日が翳(かげ)りゆく、誰もいない学校の教室を連想する。いつまでもそこにいたいような、いてはいけないような……。自分の言葉でその静謐(せいひつ)さを壊してしまいそうで、書評できなかった。
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佐倉統 対放射能感情の研究プロジェクトが軌道に乗り、充実した年だった。別の共同研究をまとめた『人と「機械」をつなぐデザイン』は来春刊行予定。




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