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萱野稔人 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

表紙画像

(1)殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?(ポール・シーブライト著、みすず書房・4104円)
(2)民主主義って本当に最良のルールなのか、世界をまわって考えた(朝日新聞「カオスの深淵」取材班、東洋経済新報社・1620円)
(3)やくざ・右翼取材事始め(猪野健治著、平凡社・1944円)
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 書評で取り上げられなかった本から選んだ。(1)は人類の社会を考えるうえで必読の書だといってもいい。経済が発展するには、人類が暴力によって利益を獲得することを抑え、それに代わって信頼のネットワークを築いてきた長いプロセスが不可欠であった。そのプロセスを広い視野から論じた本だ。(2)を取り上げるのは決して朝日新聞に媚(こ)びているからではない。民主主義は、じつは経済成長によって利益分配のためのパイが拡大していた時代にかろうじてうまくいっていた制度なのではないか。それを考えるための数多くの材料が丁寧な取材によって提示されている。(3)は現代の暴力の世界に切り込んでいったジャーナリストの仕事と半生を回顧した本である。猪野さんの仕事に敬意を表したい。
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 萱野稔人(久しぶりに哲学の本をだしました。タイトルは『闘うための哲学書』。プラトンから現代までの哲学書22冊を対談形式で論じていくという本です。)

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