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島田雅彦 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

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 (1)人間は料理をする(マイケル・ポーラン著、野中香方子訳、NTT出版・上・下各2808円)
 (2)音楽の進化史(ハワード・グッドール著、夏目大訳、河出書房新社・3456円)
 (3)平成政治史(後藤謙次著、岩波書店・第1、2巻2484円、第3巻3024円)
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 (1)火、水、空気、土という古代の四大元素に即し、BBQ、煮物、パンなどの発酵食品の成立をたどり、料理という観点から社会や経済の発展段階を振り返る、料理人類学的考察。
 (2)音階や和声、リズム、さらには楽器、楽譜、音響効果など音楽の基本的原理やツールの進化をたどる音楽人類学の試み。人は快楽にまつわることには熱心になるので、進化も早い。
 (3)中露の台頭と米国の相対的地位低下で新たな帝国主義と冷戦の時代が巡ってきたが、日本の政治には戦前回帰という退行的選択しかないのか? 中道左派の崩壊、保守やハト派の沈黙の先は無意味な大政翼賛社会か? 平成以降の政権の成績簿たる本書は「なぜ日本はこうなったか」の説得力ある説明となっている。
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島田雅彦 ヴェネチアに半年間暮らし、『往生際の悪い奴』と『暗黒寓話集』を上梓(じょうし)。次は『虚人の星』と『好色一代男』現代語訳。



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