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杉田敦 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

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 (1)福祉国家変革の理路 労働・福祉・自由(新川敏光著、ミネルヴァ書房・4104円)
 (2)シリーズ日本の安全保障 第1巻・安全保障とは何か(遠藤誠治・遠藤乾編、岩波書店・3132円)
 (3)感情の政治学(吉田徹著、講談社選書メチエ・1890円)
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 書評した以外から、いまの政治を考えるための3冊を。現政権がいうように、経済成長がすべてを解決するか。(1)は福祉国家の多様性をふまえつつ、配分の問題の重要性を改めて提起し、富の不足でなく偏りによって、人びとの生きる自由が奪われているとする。安全保障を軍事と同一視する現政権に対し、(2)は、軍事的なものと共に、国際援助や信頼醸成などの「人間本位の安全保障」も重要とする。幅広い執筆陣を擁する同シリーズでは、従来の対立構造を超えた議論の展開が期待される。
 路上やネットでの「ヘイトスピーチ」横行など、社会の荒廃が目立つ中、(3)は、人間は合理性だけで動くものでないとし、感情や情念をふまえて合意形成する可能性を探る試みである。
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杉田敦 本に埋もれ思索にふける日々を志したが、状況への対応に追われ、未読の本に埋もれる仕儀に。『岩波講座・政治哲学』(共編著)等。

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