書評・最新書評

保阪正康 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

表紙画像

 (1)フランクリン・ローズヴェルト 上・下(D・K・グッドウィン著、中央公論新社・各4536円)
 (2)ベルリン危機1961 上・下(F・ケンプ著、白水社・各3456円)
 (3)戦後責任 アジアのまなざしに応えて(内海愛子、大沼保昭、田中宏、加藤陽子著、岩波書店・2808円)
    ◇
 大部の書を読むのは楽しい。(1)は20世紀前半を率いたアメリカ大統領の評伝だが、実際にはエレノア夫人の役割も描く指導者夫妻伝というべきだ。ローズヴェルトの信念はアメリカ政治の骨格になるが、夫人は自身の人生観で夫を支える。安堵(あんど)感のわく評伝である。
 (2)は、第3次世界大戦が想定されたベルリン危機をケネディ米大統領、フルシチョフ・ソ連首相のそれぞれの置かれた状況を時間で追いながら詳細に記録したドキュメント。巻末の参考資料に圧倒されながら、歴史モノはこう書かなければとの思いにとらわれる。
 (3)は日本の第一線の研究者たちが、戦後社会で問われる戦争責任を多角的に論じた書。戦後70年を前に、日本人が考え直すべきことはあまりにも多い。
    ◇
保阪正康 老いを迎えて時間の早さに驚く。取り組むべき仕事を急がなければの感しきり。戦後70年の光景をよく見ていたい。

関連記事

ページトップへ戻る