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本郷和人 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

表紙画像

 (1)キルギスの誘拐結婚(林典子著、日経ナショナルジオグラフィック社・2808円)
 (2)考古学崩壊 前期旧石器捏造事件の深層(竹岡俊樹著、勉誠出版・3456円)
 (3)史料としての猫絵(藤原重雄著、山川出版社・864円)
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 (1)中央アジアのキルギスでは、誘拐もしくは略奪によって結婚させられる女性が多数いる。著者はカメラのファインダーごしに人生をねじ曲げられた女性たちを見つめながら、それは慣習か、人権侵害かと煩悶(はんもん)する。(2)はいわゆる「神の手」事件と、事件をうけての旧石器考古学界の対応を克明に記す。いろいろな読み方はできようが、学界は徹底的に反省すべし、という著者の主張は間違っていまい。以上二冊は「人間の業の深さ」を思い知らせるもので、では私は弱者に辛(つら)く当たっていないか、大勢に安易に乗ってしまってないか、と「問いかけ」は直ちに自分自身に返ってくる。そこで、ほっと一息(3)。かわいいネコを素材に、絵画の見方・読み方の本質を、分かりやすく教えてくれる。
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本郷和人 老人になる支度を始めた1年。何も書けなかったが、名著・龍粛(りょう・すすむ)『鎌倉時代』(文春学芸ライブラリー)を編集したから、まあいっか

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