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水野和夫 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

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 (1)文明と文化の思想(松宮秀治著、白水社・3456円)
 (2)世界の見方の転換 全3巻(山本義隆著、みすず書房・3672〜4104円)
 (3)アダム・スミスとその時代(ニコラス・フィリップソン著、永井大輔訳、白水社・3024円)
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 3冊はいずれも「歴史の危機」の時代に専門バカに陥ることの愚かさを教えてくれる。21世紀はイノベーションの時代だといって自然科学偏重の姿勢がいかにナンセンスであるか、さらに人文科学を芸術や政治、経済などに細分化すればするほど問題解決能力を失うことを知らしめてくれる。
 (1)によれば、「世界史」を語る資格は西欧のみだとする西欧近代思想それ自身が、新たな神話「グローバリゼーション」を生み出し、その呪縛にいまだ囚(とら)われている。近代科学は「無限成長」への道を開いたが、(2)の著者がいうように、21世紀にそのつけを払うことになるとすれば、その対処の仕方は(3)でスミスが生涯精力を注ぎ、未完に終わった「人間学」を我々が継承し完成させる以外にない。
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水野和夫 3月発売の『資本主義の終焉と歴史の危機』は想定外の売れ行き、年末には経済専門誌で「ベスト経済書」第1位となり青天の霹靂(へきれき)。

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