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水無田気流 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

表紙画像

 (1)リキッド化する世界の文化論(ジグムント・バウマン著、伊藤茂訳、青土社・2376円)
 (2)死んでしまう系のぼくらに(最果タヒ著、リトルモア・1296円)
 (3)五色の舟(近藤ようこ漫画、津原泰水原作、エンターブレイン・ビームコミックス・842円)
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 書評しそこねた本より。(1)文化と階級の攪乱(かくらん)。かつて審美的消費のため作られた芸術作品は階級区分の標識であった。「美しいものに美しい意味を見出(みいだ)す人々が教養ある人々である」。このオスカー・ワイルドの言葉すら流体化しゆく世界を読む。(2)たくさんの死が、平穏な顔で生と並存する風景。「死がわくとき、その頭上のあめつぶに、しろいカササギが一羽とまること、」。見えない/見ないものたちの足跡。私たちを覆う、死の周囲の喧騒。(3)時空を、身体を、家族を、思い出を、歴史を、こんな風に折り畳み、紡ぎ直すことができるとは……。「特別な子供が/特別なお父さんのために走っているからだ!」。私たちは、彼らに選ばれなかった側の歴史を生きているのかと、眩暈(めまい)の読後感。
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水無田気流 『無頼化した女たち』『シングルマザーの貧困』のほか、共著1冊上梓。仕事の渋滞とともに生きてゆくのに慣れました。

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