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諸富徹 書評委員が選ぶ「今年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2014年12月28日

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 (1)租税抵抗の財政学(佐藤滋、古市将人著、岩波書店・2484円)
 (2)格差と民主主義(ロバート・ライシュ著、雨宮寛ほか訳、東洋経済新報社・1728円)
 (3)アメリカの就労支援と貧困(久本貴志著、日本経済評論社・3672円)
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 (1)は、「租税抵抗」をキーワードに、なぜ日本が世界で最小規模の税負担にもかかわらず、減税を繰り返し、公的債務を累積させたかを分析。普遍主義的な社会保障制度の構築とその充実こそが、税負担への合意を生み出すと説く。
 (2)は、巨大な富の蓄積が格差拡大と公共財の劣化を促し、民主主義を歪(ゆが)める米国資本主義の姿を赤裸々に描く。だが著者は、諦観(ていかん)の代わりに行動の必要を説き、富裕層の課税強化、金融取引税による投機抑制、軍事費削減、公的医療保険拡充による医療費抑制、これらで得た財源で教育・インフラへ投資といった進歩派のアジェンダを提示する。
 (3)は、米国の貧困層への就労支援を、教育・訓練による人的資本投資の観点から現地調査に基づき分析した力作。
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諸富徹 政府税調での法人税改革論議に参加し、法人税分析の必要を痛感。来年は1年間、米国で法人税研究に従事します。

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