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未完の平成文学史—文芸記者が見た文壇30年 [著]浦田憲治

[評者]

[掲載]2015年05月03日

[ジャンル]人文

表紙画像

 著者は、昭和の終わりから平成24(2012)年の退職まで、日本経済新聞で文芸記者を務めた。その28年分の取材手帳と400本のインタビューテープをもとに、昭和とは一風異なる平成の文学を特徴づけようとする。そのため編年体ではなく、ポストモダン、春樹とばなな、女性の時代など、17のテーマを設定して作家たちの動き、発言などをまとめている。「中上健次の死と文壇の崩壊」「大江健三郎と江藤淳」など、作家の固有名を立てた章では、「事件」を直接取材した記者ならではのエピソードもあり、興味深い。総じてジャンルの壁がなくなり、「なんでもあり」の様相がいよいよ濃い時代を作家に並走し、取材者として記録した労作だ。
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 早川書房・3024円

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