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五十嵐太郎 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

表紙画像

(1)後(ご)美術論(椹木野衣〈さわらぎのい〉著、美術出版社・5184円)
(2)映画は絵画のように 静止・運動・時間(岡田温司著、岩波書店・3132円)
(3)表象のアリス テキストと図像に見る日本とイギリス(千森幹子著、法政大学出版局・6264円)
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 建築が専門だが、近年は広告、絵画、漫画、映画における窓の表象を調査し、異なる表現分野同士の影響関係を考える機会が多い。そこでインタージャンル的な視点の著作を挙げたい。
 (1)は、音楽と美術を交差させ、「アート」を論じる試み。最終的にはジャンルそのものの解体をめざす野心作。(2)は、近代に誕生した映画が、視覚芸術の大先輩である絵画からいかに表現の手法や構図を継承したか検証。(3)は、ルイス・キャロルの小説が生んだキャラに対し、彼や他のイギリス人が描いた挿絵、明治以降の邦訳書における日本人による挿絵を比較し、少女像の変化をたどる。海外の物語とイメージをいかに受容したかという日本文化論であり、現在の「かわいい」の概念への問いかけにもつながる。
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 五十嵐太郎 (筆者も半被災者となった3・11以後の建築とアートの動向を論じた単著『忘却しない建築』(春秋社)を刊行しました)

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