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大竹昭子 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

表紙画像

(1)あなたを選んでくれるもの(ミランダ・ジュライ著、岸本佐知子訳、新潮社・2484円)
(2)たまきはる(神蔵美子著、リトル・モア・3240円)
(3)黒い迷宮(リチャード・ロイド・パリー著、濱野大道訳、早川書房・2484円)
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 (1)は映画の脚本に行き詰まった著者がふだん出会わない人々をインタビュー。意志を超えたリアルな世界の采配に人が生かされているのを実感。登場者のひとりが映画完成の鍵となるくだりに生命の輝きを感じた。(2)は夫や家族、父の死などを写した写真の合間に写真集の制作に苦しむ著者自身の声が綴(つづ)られる。「神」という言葉もでてくるが宗教とは違う。要約を拒むような、名付けから遠いものへ向かう意志が(1)と似ている。どちらも人間の愛(いと)おしさにあふれていた。六本木のクラブで働いていたイギリス人女性の殺人事件を扱った(3)は、人間の深みに降りた一級のノンフィクション文学。水商売の独特な方式、客の金髪女性好き、自白を重視する捜査方法など日本の特殊性にも触れ、読み応え充分。
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 大竹昭子(秋に仕事場を移転、自転車とジム通いを開始。間もなく『出来事と写真』が出ます。某誌でも月二回あり書評三昧(ざんまい)の一年でした)

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