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武田徹 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

表紙画像

(1)リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください(井上達夫著、毎日新聞出版・1620円)
(2)哲学用語図鑑(田中正人著、プレジデント社・1944円)
(3)動いている庭(ジル・クレマン著、山内朋樹訳、みすず書房・5184円)
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 通常の書評では時事性を意識して手堅く選書しがち。年末特集ではあえて「大きな」本を選んでみた。(1)は聞き書きだが、正義の条件を考え抜いてきた井上法哲学の全貌(ぜんぼう)に触れられる費用対効果の高い入門書。「我ら愚者の民主主義」という考えに共感する。(2)は哲学史上の多くの概念の図解化に挑戦した大胆な一冊。地球儀を回して世界を一覧するのに通じるワクワク感あり。深く知りたければ本書の後に縮尺の違う地図を見ればいい。(3)は植物の遷移や動物の移動を織り込んだ庭の提案。「庭」を舞台に自然環境を支配しようとする欲望を超え、誰にも支配されず、誰をも支配しないリベラルな境地を示したと読めば庭園論やエコロジー論を超えた広がりを持つ。
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 武田徹(読書の日々を楽しく過ごしていたら自分の本を書き上げずに終わってしまった。本業の自覚を取り戻したい)

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