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荻上チキ 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

表紙画像

(1)断片的なものの社会学(岸政彦著、朝日出版社・1685円)
(2)レイシズムを解剖する(高史明著、勁草書房・2484円)
(3)ぼくたちは戦場で育った サラエボ1992ー1995(ヤスミンコ・ハリロビッチ編著、千田善監修、角田光代訳、集英社インターナショナル・2268円)
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 (1)は、いま最も注目を集める社会学者の異色作。小さなエピソード、様々な風景描写が「あなたの社会風景」を揺さぶり、拡張する。
 (2)は、ネット上にはびこる「嫌韓」などの現代的な人種差別、そのメカニズムと対処策を分析。誰がなぜ、レイシズムに感染するのか。丁寧な筆致で、研究者の矜持(きょうじ)を見せつける。
 (3)は、20年前のサラエボでの紛争体験を、当時子どもだった1千人以上に尋ねる。手法は、SNSを通じた百数文字のショートメッセージ。きわめて現代的な手法で、戦争が日常となった子供のリアリティを立体化することに成功している。今年、特に優れた3冊という観点で選んだが、自然と若手の新しい書き手たちが頭に浮かんだこと、とても嬉(うれ)しく思う。
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荻上チキ(浜井浩一氏との共著『新・犯罪論 「犯罪減少社会」でこれからすべきこと』。TBSラジオ「Session-22」では戦争特集に力を入れた)

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