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杉田敦 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

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(1)私たちの声を議会へ 代表制民主主義の再生(三浦まり著、岩波書店・2160円)
(2)戦争に抗する ケアの倫理と平和の構想(岡野八代著、同・3024円)
(3)平等の政治理論 〈品位ある平等〉にむけて(木部尚志著、風行社・3780円)
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 政治分野の必読書を、紹介できなかったものから。国会前に、そして全国各地に抗議の人波があふれた一年であったが、選挙で勝った与党に従うことこそが民主主義だという議論は根強い。しかし、現在の代表制システムは、組織化されやすい特定の利益だけを代表し、人びとの多様性を反映しないと(1)は批判する。安保法制や自民党改憲案、そして歴史修正主義の根底にある、個人の人権より国家を優先させる戦争の論理。これに対し、(2)は、傷つけられた人びとの側から、相互に支え合うケアの倫理としての平和主義を構想する。さらに(3)は、不平等で「品位」がなく屈辱にまみれた社会では、人びとは政治を担う市民とはなりえないと指摘し、民主主義と平等論との内的なつながりを示す。
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 杉田敦(『両義性のポリティーク』『権力論』『境界線の政治学 増補版』。年明けに長谷部恭男さんとの対談集も)

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