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中村和恵 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

表紙画像

(1)写真集 花のある遠景(西江雅之著・写真、左右社・3240円)
(2)次の大量絶滅を人類はどう超えるか(アナリー・ニューイッツ著、熊井ひろ美訳、インターシフト・2376円)
(3)逃走の権利(サンドロ・メッザードラ著、北川眞也訳、人文書院・3672円)
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 書評できなかった本の中から、いまの気配を感じる3冊を。(1)は東アフリカ、パプアニューギニア、カリブ海と、世界を歩いた文化人類学者・言語学者の、名写真の数々。鮮烈な好奇心の手前に、人として当然な他者への敬意がある。写真って本当に、見る側の視線をあらわにするメディアだ。(2)億年単位で地球の歴史を眺めれば、生きもの総とりかえに近い大量絶滅も何度かあったのだ、と考えるとなぜか心が落ち着く。副題は「離散し、適応し、記憶せよ」。最後の記憶こそ人間らしい行為。語り聞き、読み書き、つないでいく。(3)災害、暴力、搾取から逃走する権利がわたしたちにはある。ヨーロッパの人種差別や移民・難民について、日本にいるからこそ考えざるをえない。
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 中村和恵(英語学習自伝「イングリッシュ・レッスン」(「世界」)と、住まいに関するよしなし事「ついの住処(すみか)」(ウェブ平凡)を連載中)

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