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原武史 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

表紙画像

(1)朝鮮燕行使(えんこうし)と朝鮮通信使(夫馬〈ふま〉進著、名古屋大学出版会・9504円)
(2)三つの新体制 ファシズム、ナチズム、ニューディール(W・シヴェルブシュ著、小野清美、原田一美訳、同・4860円)
(3)廃線紀行 もうひとつの鉄道旅(梯久美子著、中公新書・1080円)
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 書評の機会を逸した3冊を挙げる。(1)は700ページを超える重量級の研究書ながら、一次史料からの引用はすべて現代語訳になっていて読みやすく、前近代の朝鮮を中心とした東アジアの国際関係がくっきりと浮かび上がってくる。時間をかけて読むに値するすばらしい研究成果である。(2)は今日全く別の思想とされている米国のニューディールと、同時代に出現したイタリアのファシズムやドイツのナチズムが、いかに共通の根をもっていたかを説得的に論じている。本書で言及されない同時代の日本の天皇制と比較しながら読むのも一興だろう。(3)はよくある「廃線マニア」の本とは異なり、著者の文章がカラー写真や地図に負けないだけの強度を保っているのが印象に残る。
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原武史 今年も皆勤。6月に母が急死しました。来年度から放送大学に移ります。ラジオ用の教科書を書き上げました

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