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保阪正康 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

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(1)不確かな正義(戸谷由麻著、岩波書店・3456円)
(2)帰還兵はなぜ自殺するのか(デイヴィッド・フィンケル著、古屋美登里訳、亜紀書房・2484円)
(3)アメリカを変えた夏 1927年(ビル・ブライソン著、伊藤真訳、白水社・3456円)
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 戦後70年は〈同時代史から歴史へ〉の入れ替わり。史実の解釈も変わる。(1)はBC級戦犯裁判で問われた個人の責任論を「実践的な法理学」から確かめて、従来の説に一石を投じようと試みた書。史料や文書の再検証にも挑む。戦争裁判研究への関心が必要という結論にもうなずける。
 (2)は、イラクやアフガンに派遣された米軍兵士の4分の1は心理的な傷を負い、帰還後の社会復帰が困難という。毎年240人以上が自殺というのは衝撃だ。本書は兵士本人や家族の苦悩を詳述している。
 (3)は20年代の象徴的な一年をとりだし、その夏前後のアメリカ社会の人々の姿を生き生きとえがきだす。大衆社会のエネルギーに驚嘆しつつ、国力の下支えを実感させられる。
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 保阪正康 戦後70年、講演、執筆にとよく働いたと思う。新しい試みとして昭和史を図形で考える新書刊行、好評の様子

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