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三浦しをん 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

表紙画像

(1)黄金色の夜(宇江敏勝著、新宿書房・2160円)
(2)瞑(くら)き流れ(ジョシュ・ラニヨン著、冬斗亜紀訳、新書館モノクローム・ロマンス文庫・1080円)
(3)一生続けられない仕事 3(山田ユギ著、竹書房バンブーコミックス麗人セレクション・669円)
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 (1)は、紀州の山や里にまつわる短編集。山の景色が眼前に香りたつような文章で、人語を話す狸(たぬき)と友だちになることも、この世ならざる存在を垣間見ることも、ちっとも不思議ではないのだと実感した。哀切さ、愉快さ、うつくしさが心に染みこむ。強くおすすめしたい。(2)は、海外ゲイロマンス小説の傑作。めでたくシリーズが完結したので、通読のチャンスだ。ミステリとしても楽しめるうえに、最終巻を読んで、一人の人間が愛によって己の真実の姿を取り戻していく物語だったのだなと気づき、私は涙した。(3)はBL漫画。作者の実力はすでに折り紙つきだが、本作はエンタメに徹しつつ、喪失と再生、愛に支えられ救われるとはどういうことなのかを真摯(しんし)に描き、これまた涙で枕が濡(ぬ)れた。
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 三浦しをん 一年が終わると信じたくない。来年こそは堅実な人間になりたい。毎年そう思ううちに一年が終わるのである

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