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諸富徹 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

表紙画像

(1)震災復興の政治経済学 津波被災と原発危機の分離と交錯(齊藤誠著、日本評論社・2376円)
(2)日本経済の構造変化(須藤時仁、野村容康著、岩波書店・2700円)
(3)田園回帰1%戦略 地元に人と仕事を取り戻す(藤山浩著、農山漁村文化協会・2376円)
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 今年は、日本の現実と真摯(しんし)に向き合い、現実と格闘する中で大きな成果を上げた著作にめぐり合えた。学問の役割が、真理追求を通じて現実を批判的に見る視点を提示することにあるとすれば、(1)は、まさにそれを達成した作品。その迫力に圧倒される。経済学者たるもの、こうありたいと思う。(2)は、日々の経済の「移り変わり」ではなく、日本経済の「構造」に着目。なぜアベノミクスがうまくいかないのかを考えるほぼ全ての論点が、ここに網羅されている。(3)は、「諦め」でも「非現実的な理想」でもない、地域再生に向けて手の届く現実的な目標をまず掲げて進む重要性を教えてくれる好著。地域の実情を定量的に把握し、打つべき手を冷静に指南する「理論と実践」の絶妙な融合を見習いたい。
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 諸富徹 米国で自分の下手な英語に辟易(へきえき)しつつも、調査と報告、討論、そして論文執筆にチャレンジして多くを学べた1年でした

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