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吉岡桂子 書評委員が薦める「2015年の3点」

[評者]今年の3点(書評委員)

[掲載]2015年12月27日

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(1)暗黒の大陸(マーク・マゾワー著、中田瑞穂、網谷龍介訳、未来社・6264円)
(2)シリーズ 日本の安全保障 第8巻 グローバル・コモンズ(遠藤乾編、岩波書店・3132円)
(3)世界の果てのこどもたち(中脇初枝著、講談社・1728円)
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 「民主主義ってなんだ?」の声が胸に響くままに暮れを迎えた。(1)は、今年いっぺんに3冊の邦訳がでた歴史家マゾワーが語り直した、20世紀の欧州と民主主義の関係史。そこにあるひ弱さにこそ、現在を考える視点が宿る。
 (2)は、安全保障を語る言葉を、「安保ムラ」に集う一部の専門家から取り戻すための論点と知識を網羅したシリーズの最終巻。他人任せにしている限り、自らの安全は守れない。民主主義と地続きにある市民、つまり「私」の安保を考えるヒントがつまっている。
 (3)は、旧満州で出会った3人の少女の物語。1974年生まれの著者の温かい文章を、丁寧な調査と東アジアの未来への思いが支える。自分と異なる誰かへの想像力が、人を社会の主役にする。
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 吉岡桂子 『中国リベラリズムの政治空間』(勉誠出版)で、追いかけているテーマ「環境NGOと中国社会」を書きました。

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