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21世紀の豊かさ [編著]中野佳裕、ジャン=ルイ・ラヴィルほか

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)

[掲載]2016年12月11日

[ジャンル]政治 社会

表紙画像

 20世紀の社会民主主義は、「民主主義と資本主義の洗練化に貢献し、市場と国家の連携を通じて経済的かつ社会的な進歩の理想を普及するまでに至った」。しかし、経済のグローバル化に伴い、ヨーロッパでも、社会民主主義は新自由主義に駆逐されつつある。
 本書では、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アメリカ、日本の研究者たちが、「脱成長」の時代における社会民主主義の再活性化を模索する。エコロジーの視点からも、経済そのものの論理からしても、経済成長を目指す生産力主義は限界に来ている。そうした中、ラテンアメリカの「ブエン・ビビール(善き生活)」のような、自然と共生する生活哲学が注目されるという。日本でも、中央集権的な「公」とも経済主義的な「私」とも異なる「共」(コモンズ=共有物)の領域に期待する「地域主義」(玉野井芳郎)の試みがかつてあった。人々が助け合う「連帯的な経済」をどうつくるべきか。議論は続く。



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